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 □ 連続同型     

先日に続いて、本日も八尾にて嫁入り駕籠の調査に同行しました。
嫁入り駕籠調査を続けていると、旧家の軒先には嫁入り駕籠がデフォルトで置いてあると錯覚してしまいそうになりますが、現存する嫁入り駕籠の総数はかなり少なく、希少価値の高いものです。なんだか勘違いしそうです(笑)



全景。先日のモノと同型。


先日調査させていただいた嫁入り駕籠の造りと同型で驚きました。
竹製であることや、仕組み等はほぼ同型。



後方から。



内装のしつらい。


内装についてもこれまで調査してきた嫁入り駕籠と同じ。
華美な装飾が無いところを見ると、推察するに嫁入り時には紅白の布か、花かそういった祝いモノで装飾されていたのではないかと思います。
地域によって職人が居て、職人によって趣向が変わったものと想われますが、ほぼ同型のものが東大阪市にありましたので、テンプレートみたいな型があって、オプションで家紋や透かし模様などをつけていたのではないかと。


当時の嫁入りの様子については、動画が残ってないのでなんとも言えないのですが、作法にしたがって行われていたと考えられます。


文献では小笠原流礼法が有名ですね。


また、日本結婚史によると


 いよいよ嫁の門出となると、嫁方は兄弟家臣等が従い、嫁は輿あるいは乗物で出発した。行列に荷物の列が従った。荷物には、三棚、文房具、化粧道具、茶、花、香道具、料理道具、裁縫道具、坐臥具、火鉢、茶道具などの家具、および被服などで、箪笥、長持、釣台にのせて運ばれた。嫁の乗物には犬張子、守刀などが入れられた。一方婿方は門前に門火を焚いて待ち、門の中では出入りの男女が餅をついた。



とあります。嫁入り行列の並び方や順番等は不明。


阿波学会研究紀要郷土研究発表会紀要第25号によると、


 嫁が生家を出る前に、里の氏神と先祖の墓まいりをする。また生家の門前で藁火をを炊き茶わんを割る。これは、葬送の場合と同じで2度と生家ヘ帰ることのないようにとの意味をもつものである。(嫁送りは藁束を立て、葬送の場合は藁束を逆に立てる。)
 嫁入行列は、夕方からチョウチンをつけて野路を行くのが普通であった。富豪の娘は人力車に乗って嫁入りした。嫁入行列をわざと邪魔する「嫁さんいじめ」の風習は、この地では聴くことができなかった。県南地方では聟が嫁を迎えに行くが、この地方では、仲人が聟に代って嫁迎えに行く。嫁入りの途中で他の嫁入行列とすれちがうことがある。そのときタカラバチ(タケノコの皮で作った傘)を持参していて交換する風習があった。これは、古い破れた傘ほどよいといわれる。昨今は、麦藁ぼうしに代っているが、これは開運を意味するものらしい。
 嫁は、聟の家に着くと、勝手口から座敷に上る。このとき、山城町でみられたような足を洗う風習はみられない。座敷に上ると、奥の間で三三九度の杯をかわす。



とあり、地域による風習や因習、慣例が加味されているものの、おおまかな型は形成されていたと考えられます。


日本結婚史その2によると、1871年の戸籍法制定以降の近現代とそれ以前で線引されそうですね。
今でも改製原戸籍謄本を取得すると、明治の戸籍が出てきますから、遡及できるのは明治ということになります。
それ以前の嫁入りの礼法と、それ以降の嫁入りの礼法はガラリと変わって、それに従って嫁入り駕籠の風習も薄れていったのだと思います。

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無題
結婚式は今では考えられないくらい家と家の一大イベントだったんですね。
城 あい子 2012/07/15(Sun) 編集
結婚の在り方
城さん、いつもありがとうございます。

嫁入り駕籠調査をしていると、結婚の在り方の変遷についても色々考えさせられます。
家と家の結婚<<<村と村との結婚<<<地域と地域の結婚みたいな重要度パラメータがあって、外部から嫁取りをする=家だけのことではない!という意味合いが強かったようです。


結婚の嫁入り駕籠行列の話を訊けば、先頭が相手の家に到着しても、まだ嫁の実家から出発していたというエピソードもあるぐらいです。


今はあまりにも簡単に結婚・離婚が出来ます。良い反面、つながりを軽んじるところがあるようにも思えます。「絆」ってのはもっと厳かなものでは無かったのだろうかと感じることもありますね。
川口 泰弘 URL 2012/07/16(Mon) 編集
プロフィール
名前:
川口やすひろ
年齢:
40
性別:
男性
誕生日:
1983/05/21
自己紹介:
【連絡先】
事務所電話:05058489605
事務所FAX:02046679016

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