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本日は待ちに待ったオープンソースを実際に導入されておられる交野市様を訪問してまいりました。
どうも皆さんこんばんわ。川口やすひろです。


週刊ひがしおおさかの前田さんの車に乗せてもらって東大阪を出発。
第二京阪を使って行ったのですが、なんと25分足らずで東大阪市役所から交野市役所に到着!
交野は近い!と実感しました。
往復で1時間かかりません。電車では遠く感じますが、車ならなんと近いことか!



重厚な雰囲気の交野市役所本庁。


あまりにも早く到着してしまったので、しばらく時間を潰してから2階の総務部情報課へ。
寺島主任と天野係長がご対応下さいました。
内容は事前のお渡ししていた質問内容をふまえ、それに応答して戴く形式で行われました。



Q1:OpenOfficeの導入の実態調査としてどのような使用状況でしょうか?(実際にフル活用するにあたっての継続的な使用にあたる注意点など)


A1:OpenOffice.orgは庁内の全パソコンに導入済み。オペレーティングシステムの内訳は、WindowsXPが140台。(マイクロソフト社OfficeとOpenOffice.orgとの併用)
Windows7が100台。(OpenOffice.orgのみでマイクロソフト社Officeは無し)
Linux(Xbuntu)が80台。(OpenOffice.orgのみ)

また、導入決定時にはLibreOffice(リブレオフィス)はリリースされておらず、キングソフト社のOfficeは、ODF形式非対応だったので選外になったとのことです。


ODF形式はISO/IEC 26300 として標準規格に認定されている為、それがOpenOffice.org導入の決め手となったそうです。



Q2:実際にパソコンでOpenOfficeの作業をしている現場を見学させて戴くことは出来るのでしょうか?


A2:遠くから見させて戴きました。Calcが起動して、実際にそれで表計算しておられました。



Q3:Ubuntu-Linuxの軽量版であるXubuntu-Linux(10.04LTS版)の動作状況を実際に見学することは出来るのでしょうか?また、使用PCの詳細スペック(CPU、メモリ)を教えていただけるのでしょうか?


A3:動作状況は実際に見ることはかないませんでしたが、スペックはCeleron700Mhz・メモリ768MB(256に512追加)で動かしているそうです。ということは、この980円パソコンにメモリを足したのと同等のスペックでも動作するということです。



Q4:また、カーネルVerはリリースされたものをそのままご使用でしょうか?(出来ればソースコードに交野市独自の改変を加えておられるのならお教えください)


A4:KernelVersionはリリース時のときのまま使用しておられるそうです。
アップデート専用のプロキシサーバーを運用しており、Windowsみたいに自動更新をしている為、ソースコードに交野市オリジナルコードは使えないとのこと。
ここで推測ですが、FixedされたOSでは無いと言うことが言えます。
安定動作を軸に考えるならば、FixedされたOSを使うのは鉄則だと考えていたのですが。
どうやら自動更新プログラムの取得によって安定動作よりもセキュリティ強化を優先されたように見受けられました。(まぁ、アップデートすることで安定動作が失われるかと言えばそうではないのですが)



Q5:ユーザーインターフェースはリリースされたXubuntuのままなのでしょうか?


A5:UIはWindowsライクに使うためにスキンを当てておられるとのこと。
通常、Linuxはタスクバーが上部に来るのですが、Windowsは下に来るので、それと同じように使うためにスキンを当てたそうです。
このへんは東大阪OS開発の思考回路に似ています。
UIをスタイリッシュに使いやすくするのが目的ですので。



Q6:「2010年度から2015年度までで約1,000万円の削減を見込んでいます」とありますが、年間に何台のPCをと言った具合に段階的に移行されているのでしょうか?それとも一括移行を行われたのでしょうか?


A6:段階移行だそうです。パソコンのサイクルをリース期間の5年と定めているので、5年おきに段階的導入をしていくそうです。
WindowsXPのサポート終了でLinuxを増やす方向で行くことが出来ればいいんですが。
なかなかそう簡単にはいかないようです・・・



Q7:研修資料などがありましたら是非PDF形式で結構ですので戴きたいのですが。


A7:研修は大阪電子自治体推進協議会にて行われたそうで、研修資料も外部企業委託のため、お渡しできないとのこと。
と、なれば次回は大阪電子自治体推進協議会に直接赴きまして、お伺いしたいと思います。
また、職員研修ですが、交野市では各課に情報化推進委員さんを1名置いて、その方に研修を行い、推進委員が各課で教えていく方式だったそうです。
しかし、最初の3ヶ月はクレーム電話の嵐で、半年もやや高度な問い合わせ。1年後は高度な問い合わせと、職員に実際に使っていって貰うのに苦労されたそうです。

しかも、職員自身で全てを賄う為、大変だったと仰られました。
逆を言えば、外部企業に委託しないでサポートとかメンテナンスは自分たちで行ったということです。
すなわち、コスト意識をもって取り組まれたと言う事です。(なんども「お金が無いから」と仰ってましたが)
市役所の職員でありながら、コスト意識を持つことのすばらしさ!
これは目からウロコでした。
単年度予算使いきり型の市役所において、コスト意識。
交野市は素晴らしい町です!


と、すっかり交野市信者になりました(笑)



Q8:メインサーバーシステムの概要とメンテナンスコストもお聴かせいただければ幸いです。
Q9:クラウドコンピューティングサービスの導入予定はおありでしょうか?


A8・9:メインサーバシステムも全て自前で運用しておられるそうです。
またクラウド化も既に10年前から実践されておられるそうです。
何よりも驚いたのは、sambaによるファイルサーバーシステムを導入することで、職員1人に1アカウントを発行し、パソコンにログインする方式を取ったことで、どのパソコンでも庁内のであればログインして使うことが出来ることです。

グループソフト的なローカルネットワークを構築し、それを職員が運用している。
しかも最低限の運用コストで!!!
普通、WindowsServer系列を運用しようものなら莫大なコストが掛かるものなのですが、メールサーバー・ファイルサーバーなど、アカウント制御で全サーバーにデーターを記憶。
手元のパソコンにはデーターは一切残さない方式。
情報漏えい事故対策もバッチリです。

しかもサーバーバックアップもHDDを購入してきてRAIDを組んでミラーリングして・・と全て自前!自前!考えられない!!!!
通常であれば、外部委託で丸投げして年間数千万円を税金から支出するモンです。
それを自前。
セキュアもある程度の水準まで保ちつつ、となるとこれは衝撃的すぎます。



Q10:OpenOfficeの互換性問題ですがどのようにご対応されておられるのでしょうか?府や国からの文書はマイクロソフト社のOfficeで読み込んでおられるとありますが、それをOpenOffice編集可能な様にしておられるのでしょうか?


A10:出来る分(特にワード形式からWriter形式)は編集しているそうです。
また、Excelのマクロ入りはCalcでは処理出来ないので、どうしても会計関係はExcelを使うしかないようです。
基幹システムも段階的にオープンソース化したいと仰ってましたが、各課が独自予算で数千万円を注ぎ込んで入札発注しているのが現状!!
億単位の話ではないので、どうしてもスルーされてしまう部分です。
が、1つの課が4000万円の基幹システムをそれぞれ発注するとなれば、10個の課では4億円!
この基幹システム部分をなんとかせねばなりません。

パッケージ化されたシステムはどうしてもWindows環境で実行しないと動きません。
その部分がネックです。お金がかかる部分です。

サーバー部分を独自運用されておられるのだから、各課との連携を深めていかねばなりません。
しかし、そこが最も難しい。
私もそう思います。
コスト意識を持って取り組むことの難しさです。



Q11:ファイルサーバーのセキュリティ対策コスト。また、WindowsServerからLinuxへのServer移行のコスト。そして、何故UNIXサーバーを導入されなかったのか?をお聴かせいただければ幸いです。


A11:ファイルサーバーのセキュリティ対策コストもFreeのソフトを使っているので無料とのこと!
アカウントごとのネット接続履歴等を統括管理出来るので、誰がどこに何度アクセスしたのかがハッキリわかるそうです。
WindowsServerの導入を飛ばして、既に最初からLinuxServerをされていたとのこと!
WindowsServerは数千万円単位になりますが、LinuxServerなら全て無料で組めます。
それを実行して、職員が運用しようとする姿勢に感動しました!
UNIXServerに至らなかったのは、Linuxで十分だったから。
Linuxによる運用を実現したことで、ある程度の水準のセキュアを保ちつつほぼ無料に近い形だそうです。コストは殆ど掛かっていないとのこと。

但し、DoSアタックの懸念や、ブルートフォースアタックのリスクは若干あるとのこと。
ただ、ソフトウェアでのハッキングは対処しているし、オリジナルコードでのハッキングやクラッキングでもバックドアは獲られないとのことです。
リスク管理と自己責任において、LinuxServer運営をされておられるそうです。



Q12:税金収納システムや子ども手当システム等はAccess統合プログラムを使用されているのかどうかと、Linux移行にあたるAccessプログラムをどのように処理されたのでしょうか?

A12:Excelのマクロ(VBA)に関しては、どうしてもWindowsマシンでのOfficeを使わなければならないそうで、各課からのスムーズな事務処理にOpenOffice.orgは向かないのではないか?との意見もあるそうです。
5万円のマイクロソフト社のOfficeを5年間使うとして、1日あたりいくらか。そして、OpenOffice.orgを使うことでの習得時間やマイクロソフト社のOfficeとの違いを克服するのにかかる時給換算的な部分を考えると・・という意見もあるみたいで。

たしかに、どうしてもOpenOffice.orgを使わねばならないのか?と。
東大阪でOpenOffice.orgは必須なのか?と。
数千万円出してマイクロソフト社のOfficeやWindowsを使ったらいいじゃないか、と。

そういう議論になります。
ただ、私は数億円の事業には多くの職員を割いて取り組み、数千万円の事業には・・と言った従来の政治スタンスを考えなおさねばならないと考えております。
そして、市役所職員ひとりひとりに『コスト意識』を持ってもらうキッカケとしてのOpenOffice.org導入政策を考えております。

交野市でのOpenOffice.org導入で良かったこと、悪かったことをお訊きしました所、


良かったこと:無料なので、試せる。従って良いものを選定出来る。そこがOpenOffice.orgのいいところだ。

悪かったこと:自己責任のもと、導入せねばならない。互換性問題は未だなお存在する。


と言う事でした。
私はそこに、


オープンソース化のメリット・デメリットを考えると、


メリット:年間数千万円のコスト削減につながる(基幹ソフトを含めて)
東大阪ブランドとしてOpenOffice.orgのユーザーインターフェース改善と互換性実証を実行していく
東大阪ブランドとしてOS開発をすることでPR出来る
市役所職員へのコスト意識を考えてもらうキッカケになる
積極的に新しい技術を取り入れていくことで、東大阪がアップデートされる


デメリット:互換性(特にマクロ)問題がある
導入は無料でも、サーバーから全部職員が意識を持って運営保守管理せねばならなくなる(交野市は職員で運営保守管理されており、またその分の技術に対する手当も無いそうです)
研修をして使い方のサポートをしなくてはいけない
新しいことを覚えなければならない
自己責任でサーバー運営をせねばならなくなる
職員同士の相互連携が必須であり、各課の関係悪化につながる可能性がある


と考えております。



最後に、『川口さん、億単位の事は皆、飛びつきます。ですが、数千万円の事は皆、丸投げです。市役所の職員にコスト意識を考えてもらうことは、とんでもなく難しいことです。我々は、予算が無く、必要に迫られてオープンソース化をしました。』というお言葉を聞きました。

たしかに、東大阪は規模も大きく、オープンソース化を絶対にせねばならないか?と言われると大きな弊害が出るため引け腰になってしまうでしょう。
しかし、私は敢えて数千万円の事も考えていくべきだと訴えます。
市民の税金です。
それを使うのに、億単位だろうが数千万円だろうが、違いはありません。
だったら、それを数千万円からでも削っていき、コスト意識を持って取り組むことで、東大阪市役所は飛躍的にアップデートすることが出来ると思います。

交野市では、一度オープンソース化を失敗されたそうです。
互換性問題が克服出来ず、仕方なくWindowsマシンを導入したそうです。
結果、莫大なお金が掛かってしまい、職員ひとりあたり1台のパソコンが用意出来なかった。

しかし、2度目の挑戦は市民の投書から再び始まったそうです。
再検討を重ねて、互換性をある程度の段階まで克服し、導入に至った、と。



東大阪は、市民からと議会からの動きで実現させたい。
なぜならば、規模が大きすぎるからです。
だからこそ、東大阪で実現出来れば、互換性問題である、大阪府や国からのマクロ入りExcelをオープンソース化するように働きかけることが出来ると思うのです。
大阪府全域がオープンソース化すれば、互換性問題は大幅に解消されるのです。
それを、東大阪から実現させたい。

それによって、市民にもオープンソースの概念をPRし、コスト意識を一緒に考えて取り組みたいのです。
市役所は税金をタレ流しているのではなく、必死に行財政改革を実行し、コスト削減に取り組んでいるという姿を市民の皆様にご覧に入れたいのです。
交野市様を見させて戴いて、強くそう感じました。



本日ご対応くださった、交野市役所の寺島様・天野様、本当にありがとうございました。
また、車を出してくださった週刊ひがしおおさかの前田様、ありがとうございました。

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1983/05/21
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